厭世主義者の対話

A「世の中がひっくり返っても、この退屈は変わらないのでしょうか。」
B「君、そんな甘い憂いに浸っていても、死んでしまうわけではあるまい。人は、なかなか死ねないもの。ふと死ぬもの。」
A「いえ、私も時に、こういうはかなさに誘惑されなければ、とっくに世間に骨抜きにされていますよ。」
B「君の解答は優良可で言えば、可くらいのものさ。なんといっても、君のような人間の墓場を集めたら日本中が一杯になるくらい、これまで人類の歴史は続いてきたんだからね。君の傲慢をいさめるつもりもないが、私の退屈を一寸話すのも失礼には当たらないだろう。」