今日の言葉

風景がいったん成立すると、その起源は忘れられる。それは、はじめから外的に存在する客観物のようにみえる。どころが、客観物(オブジェクト)なるものは、むしろ風景のなかで成立したのである。主観あるいは自己(セルフ)もまた同様である。主観(主体)・客観(客体)という認識論的な場は、「風景」において成立したのである。
(柄谷行人日本近代文学の起源」より)